間違った法則が、事態を複雑化させる

「問題解決なんて1つ1つは単純だけれど、間違った法則を適用しようとすると、複雑になる」というハナシをします。

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今、俺が所属している会社は規模が大きくなりつつある。

それまでは「少数精鋭がそれぞれベストを尽くすことで廻っている」という感じだったのが、セクションが増えはじめ、構造化を強くしている。

かくいう俺も、メンバーを抱え、彼らが気持ちよく仕事できるためにはどうすればいいかなーーと考えている。

その経験と失敗の中で思うんだけれど、こーいう運営に関して他所の成功法則を持ってきて当てはめるのは基本的に悪手だよな、と思っている。

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小さい話をすると、俺はよく資料を書く。規模が増えたが故に、知識伝達のための資料・ドキュメントを書く。

その上で気にかけているのは、「想定する読み手に対して魅力的な資料か」の1点だけだ。この1点だけを脳裏に置いて、あとは自由に書く。

世に現存するルール・・・たとえば「図解したほうがいいよね」とか、「箇条書きのほうがいいよね」とか、あるいはマインドマップやAmazonの「1ページルール」みたいな、そーいうルールに則ることはない。

たとえば、読み手が新人なら、カジュアルなドキュメントのほうがいいし、あるいは専門家で細かい部分まで知るべき人であれば、論文のように細かく記載する。

資料の目的に応じて色々書き換える必要があるんだけれど、「箇条書きのほうがいいんだ・・・！」とかいう法則が先んじると、グチャグチャな箇条書きが出来上がる。箇条書きに限らず、図解も、マインドマップも、1ページルールもそうだ。

そしてこれは資料を書く時だけじゃなく、いろんな問題解決に対して当てはまる。解決策というのは状況に合わせて柔軟に変えたほうがいいけれど、変に「これは有効なテクなんだ」みたいに固執してしまうケースは陥りがちだと思う。俺もよく自戒する。

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ビジネス本を読んだり記事を見たりすると、「鉄板法則」が蔓延している。これはまぁ、コンテンツとして売りやすいからだと思う。でも、大抵の場合「特定の条件下で上手く手札」でしかない。

あたかもそれが、あらゆる状況に通用する最強のツールのように謳われていて、実際にそれを信じる人も多いように思う。「この法則が正しいんだ・・・！」と妄執した結果、むっちゃ複雑なモノが提供されて、「クッソ使いづらい」みたいなことになる。

天動説みたいなモンで、「地球は動かない」という前提の法則が間違っているから、天体の動きを計算しようとするとむっちゃ複雑になる。間違った法則は、物事を複雑化してしまう。

でも、割と仕事の場において、耳触りの良いキレイな法則を当てはめようとしている場面は多い気がする。

で、その法則を適用として、上手くいかないところをパッチワーク的に修正を加えて言った結果、グチャグチャのモノができあがる、みたいな。

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俺たちが実際の生きている世界は環境依存がむっちゃ多いカオス世界なので、さまざまな手札を組み合わせて、その場に応じて一番戦えるデッキを自力で組み立てるのが確実だと思う。

ちゃんとその場に応じたデッキを用意すると、意外とシンプルなデッキが組み上がるもので。

俺は実際、いろんな手札、デッキを実験している。そして「複雑化してるな」「利が少ないな」と思ったらバッサリやめる。そうやってデッキを組み上げて、今、俺のチームの運営はかなりまとまっているな、と思う。

とはいえ、それは現状における良いデッキでしかないから、ちょっとメンバーの増減があるから、それに合わせてまた手札変えなきゃなーーとは思っている。

でも、「この手札は絶対最強なんだ！」と固執して、そこにあうようにデッキを組み上げるから、複雑なデッキになる。

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あとシンプルに「現存する法則の劣化バージョンを再現してるだけだから失敗する」みたいなケースもむっちゃあるけどね。

上記のドキュメントの例で言えば、図解やマインドマップなどが使いこなせる人は、それを封印しても良い資料が作れる人であって、そもそも「良い資料を作る資質」を磨いてない状態でやろうとするからダメ・・・みたいな。

（余談だけど、俺が一番読みやすいドキュメントは、大学時代に出会った「.txt」ファイルをWindowsのメモ帳アプリで開いたモノだった。）

「成功している人はみんなシンプルで地道なことを続けていて、変化球に頼る人から失敗する」というのを時折聞くけど、まさにいろんなとこで起きていることじゃないかなあ、なんて思う

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ありがたいことに俺は今の会社である程度信頼いただいている。凄腕バリバリな人が多い中、これはとてもありがたい。

けれど、俺は何も最先端な技術を取り入れたり、特異な技能を持っているわけでもない。ただ、目の前の状況に合わせて手札をやりくりして解決するのが得意で、それが割と重宝されるのかなーーと思う。わからないけど。