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Stay Gold, Ponyboy.

ファン商売が強すぎる時代

「今のオイラがサービスを広めるなら何をするだろうなあ」というハナシをします。


何かサービスや商品を広めたいとき。一昔前には、「SNSを使う」というのがむちゃくちゃ強かったです。一時期のFacebookが覇権を取ろうとしていた(あるいは今も席巻している)市場はまさに「SNS上での宣伝」です。

2010年代は、広告担当・マーケティング担当はこぞってFacebook、Twitter、あるいはInstagramの公式アカウントを作成し、そこで情報発信をしていまいた。うまくターゲット層へ受け入れられれば、そこから爆発的に情報が拡散されるので大いに価値のある施策でした。

が、2020年現在でもこれらの戦略が通用するか、と言うと相当難しいんじゃないかなあ、と思います。理由は簡単。「企業アカウントが溢れすぎてて、誰もそんなもの見ないから」です。


宣伝したい商品が、「オシャレな代官山のカフェ」などといったわかりやすいものなら話は別です。

2020年現在では多くの若者が「Instagramでカフェを検索」という行動をしているので、公式Instagramアカウントを作成して、せっせと「#代官山 #カフェ #オシャレ #フォトジェニック」といったtハッシュタグをつけて投稿をすれば、宣伝は可能でしょう。手法がわかりやすい分、調査も改善も楽です。

ところがぎっちょん、「和歌山にある歴史ある梅酒のブランド」の宣伝とかになると、まーー難しい。

Instagramのアカウントを作ったところで、誰も検索しません。「おいしい 梅酒」などで検索されたところで、出てくるのは近辺の美味しい梅酒を出してくれる居酒屋であって、梅酒のブランドではありません。これはTwitterでもそうです。その辺りで検索する人が欲しいのは「おいしい梅酒が飲めるところ」であって、「おいしい梅酒のブランド」ではないからです。


今の世の中は、何が売れるのか。それは「人気のある商品」です。

一見すると「そりゃそーだろ」ということに思えますが、実は一昔前まで、「人気」が売れる理由となっていた商品は少なかったのですよ。

たとえば「おいしいから人気があってよく売れる」という売れ方において、売れる理由は「おいしい」であって「人気」ではありません。人気はあくまで副産物だったのです。

だからこそ、多くの商品がこぞって商品の性能を追い求めていました。「付加価値」という言葉が踊っていたのは、「有能・便利な商品こそが競争に勝つ」という歴史があったからです。iPhoneもスタバも、多くの製品が「有能だから」売れていますし、その有能さが劣化すれば、売れなくなっていきます。

ところが、今は「人気」そのものが、売れる理由としてむちゃくちゃ強いのですよね。言い換えれば、「ファンが多い商品が勝つ」という状態になりつつあります。

以前はアイドルやプロスポーツ選手など、いわゆる「人気商売」と言われていた方々が「人気だから売れる」という状態だったのですが、今では様々な商品が人気商売の渦に巻き込まれてしまっています。

理由の一つに、SNSやYouTubeの台頭によって「人気者が使っている商品」というものが世に広まりやすくなったことがあります。これによって、期せずして大量のファンをゲットして競争を勝ち抜いた商品というものが一般的になってきています。

たとえば今、美容業界では「有名インスタグラマー、YouTuberが紹介した化粧品」がむっちゃ強いですよね。「人気者に紹介してもらう」というのはいつの時代も単純で有効な施策ですが、ここに来て「私的な情報発信している人気者」自体が増えたので、それに合わせて「人気者に紹介してもらう」がパワーアップしているわけです。

もちろん、商品が優秀じゃないと人気者に紹介すらしてもらえないので、「ちゃんと商品の性能を高める」というのも超重要ですが、それと同じくらい、「ファンを作る」ってのが大事なのです。

どれだけ美味しいケーキでも、「YouTuberカジサックがよく食べているケーキ」には負けてしまうのです。カジサックはケーキに関してド素人なのに、それでもカジサックにはファンが多いので、彼らが買ってくれるわけです。


と、いうことで、2020年現在では「ファンを作ること」ってのは商品を売る上で欠かせない要素です。できれば「ブランド自体のファン」を作ると超強いですね。

ファンを作るのに一番手っ取り早いのは、先ほど登場した「すでにファンがたくさんいる人を利用する」という手です。

有名人のファンというものは、その有名人が使っているモノすべてをほぼ無条件で好きになるので、すでに人気のある誰かの「愛用物」になることで、彼らが持っているファンの力を借りることができるわけですね。

たとえば先ほどの、和歌山の歴史ある梅酒なら、なんとかして芸能人や有名YouTuberなどに配りまくる。もちろん「味に自信がある」という前提がありますが、そこさえクリアして、あとは丁寧に配って1人でもヒットすれば勝利です。

「歴史ある和歌山の梅酒」というブランドから「明石家さんまさんも愛飲している、歴史ある和歌山の梅酒」というブランドへレベルアップすることで、一気に強者に躍り出ることができます。居酒屋さんにおろす時もその情報を押し出すことで、居酒屋のメニューに「明石家さんまも絶賛!」などと書いてくれるかもしれません。そうなれば勝ちです。


あとはストーリーを見せる、というのも有効な手です。ストーリーにはファンがつきやすいからです。

たとえば梅酒の制作風景を、情熱大陸さながらにインタビューを交えて作ってYouTubeに公開する。丁寧に映像を作れば、それを見てくれた中には、梅酒制作のストーリーに感動してファンになってくれる人がきっといるでしょう。つらい環境で必死に頑張っている人は応援したくなります。甲子園と同じです。

ある程度ファン候補ができれば、そこから彼らを「参加させる」といいですね。単純に「飲んでいる様子をInstagramにアップロードしてください!」とお願いするようなカタチでもいいですし、発展系として「梅酒制作風景を生放送する」とかでもいいかもしれません。

これはもうアーティストとかのファンクラブとかと同じ方法です。参加すると「応援したい」という気持ちが強くなります。ちゃんと1人1人丁寧に接して「応援したい」と思っていただければ、それはもう無茶苦茶強いです。


人気商売というのは、想像よりも地道な作業なのですよね。それはアイドルとかを見てもわかると思います。

握手会を開いて1人1人と接したり、いろんなとこに営業に出て好きになってもらえるように必死に努力していますよね。人気商売というのは、そーいう地道な下積みをして少しずつファンを作っていく作業が必ず必須です。

これは「テレビCMを売ってターゲット層へアプローチしよう!」「SNSアカウントを作ってフォロワーを稼いで不特定多数に情報を届けよう!」という行為とは真逆です。1人1人丁寧に接して、少しずつファンを増やしていく。そんな下積み時代が必要です。

2020年現在、多くの人は自分で選んでコンテンツや情報を消費するので、「要らん情報を勝手に届けてくるやつ」ってのは敵になってしまいます。

テレビが席巻していた時代は、要らん情報が挟まってくるのは「仕方なかった」のですが、今は消費者が自由に見るものを選べる時代なのです。そのため、商品を健全に広めるためには、対象に能動的に「見たい」「使いたい」と思ってもらうことが大事なのです。

そう思っていただける最上の存在とは、つまり「ファン」なのです。だから「ファン」ってのは超強いのです。

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