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Stay Gold, Ponyboy.

JUMP FORCEのどこが「思ったほどではなかった」か

最近、「JUMP FORCE」というゲームを買いました。

JUMP FORCEは、週刊少年ジャンプが創刊50周年を記念して開発されたゲームです。

少年ジャンプは度々、こーいうお祭りゲームを出していますね。ルフィや悟空、ナルトなど、漫画界の頂点たちが集結したテレビゲーム。

本作「JUMP FORCE」のテーマは「現実世界とジャンプ世界の融合」です。上述したジャンプ漫画のキャラクターたちが、現実世界のアメリカやら中国やら日本やらに降り立って、物語を繰り広げる。そんな世界観を舞台としています。

題材を聞くと面白くないわけがありません。実際、PVが公開されたときは、オイラの観測範囲でもそこそこ話題にのぼっていました。

現実世界が舞台なので、3DCG映画のようにリアルにレンダリングされた漫画のキャラクターたち。ニューヨークの街を破壊するフリーザ様や、ビル群を駆け回るナルトにルフィ。オイラもむちゃくちゃテンションがあがった1人です。


ところがどっこい。

蓋を開けてみると、正直「期待していたほどではない」のですよね。

もちろん、光るポイントはたくさんあります。予想していた通り「現実世界上にジャンプキャラクターが降り立っている」という絵面は期待していた通り面白いし、ワクワクします。破壊されたビル街に佇むケンシロウなんかは、まさしく「現実世界に降り立った北斗神拳伝承者」です。

また、戦闘もシンプルで派手です。複雑なコマンドやコンボを必要とせず、どちらかというと行動を選択するタイミングなどで戦闘が動いていくタイプです。大技はやや演出過多であったり、飛び道具勢がやや強かったりはありますが、それでも楽しくプレイできます。

とはいえ、「期待していたほどワクワクしない」のですよね。それはなぜだろう。。と少し考えてみます。


まず大きいのが、「脚本が面白くない」という。もう少し具体的に言えば、脚本が舞台設定やキャラクターの味を上手く活かせていないのですね。

このゲームは、まずはじめに「自分のアバター」を作ります。そのアバターを使って、ジャンプ戦士と共に闘う1人として物語が進んでいくのですが。

このジャンプ戦士たちの組織が、どこの馬の骨とも知れない新キャラクターによって運営されているのですよね。ジャンプ世界の住人ではないのに、鳥山明先生のデザインなので、現実世界の住人でもない。本当に「何この人。。」という感じです。

せっかくの現実世界との融合なのですから、司令官はアメリカの国防省長とか、地球防衛軍的な何かとか、あるいはジャンプらしくジャンプ漫画のキャラクターであれば盛り上がったと思うのですが。

また、その組織の拠点も、「2つの世界の狭間・アンブラスベース」という場所になっています。現実世界のどこかにしてくれれば、とてもワクワクした拠点になったと思うのですが、よくわからない空間に浮かんでいる謎の施設が拠点なので、そういうったワクワクはありませんし、よくわからない空間なので、現実志向にリアルに描写されている漫画キャラクターたちが違和感を生んでしまっています。

要するに、全く知らんオッサンが運営する、全く知らん組織に指示されてクエストをこなすゲームになっているのですよね。そのクエストの舞台が現実世界で、登場するキャラクターがジャンプキャラクターなだけになってしまっています。

全く正体のわからんオッサンの命令に悟空やルフィたちがなんの疑いもなく「わかった!いくぞ!イオリン!」とか言っていることも違和感があります。これが例えばNARUTOの火影やBLEACHの山本隊長などならうなずけるのですが。また、悟空やルフィなら、勝手に飛び出していってほしいものですが、指示がない限りは素直に拠点にいるのも違和感があります。

また、この司令官からのクエストの内容も、基本的には「この街にジャンプ世界の人が現れたぞ!調査だ!」「この街が破壊されているぞ!調査だ!」という典型的お使いイベントの目白押しなのですよね。その同行に、バランスよく各キャラクターが割り振られている、という。

「まんべんなくキャラクターたちを絡ませるようにパズルを組み合わせた」だけで、面白くなるように練られた脚本ではないのです。


また、演出部分も全体的に拙いのですよね。

ここに関しては、多くのジャンプゲーがそうなのですが、いまいち空気感が作れていないのですよ。

たとえば、このゲームではキャラクターが佇んでいる時は、呼吸をしているかのように体を上下するのですが、一方でキャラクターの表情に変化はないので、「呼吸しているモーションが当てられているアバター」というのが透けて見えます。

これが「話している時のモーション」「ガッツポーズをとっている時のモーション」など、ほぼ全ての動作モーションに当てはまるのですよね。動きが漫画的すぎることも相まって「モーションを当てられている3Dモデル」という印象が強いです。モーションが少ないのもコレを際立たせています。

現実志向の3Dモデルには、それ相応のモーションをつけないと不自然なのですが、そこが考慮されておらず、トゥーンレンダリングのゲームと同様のモーションづけが成されているように見受けられます。

ちなみに、これらはストーリー時だけで、戦闘時はそーいったことは感じさせません。想像ですが、演出部隊がストーリーラインと戦闘部分で別なのかなと思います。あるいは、用いているエンジンが違うのか。。


と、まぁ、なんか長々と書きましたが、これってディレクションの問題かなーとも思います。このゲームがやりたいことと、演出であったり脚本であったりがチグハグなのですよね。

キャラクターの3Dモデルに関しては、現実世界に合致するように服の素材が原作と違っている部分があったり、PVもハリウッド映画のような作りにしたり、「現実世界との融合」にかなり力を入れているのがわかるのですが、一方で脚本とストーリー演出が、そこと乖離しているのですよね。ちゃんとディレクションできていないように見えます。

もちろん、「50周年作品」っていうのでいろいろと縛りがあったことは想像できますが。開発期間とかね。

ただ、この開発元であるスパイク・チュンソフトさんの他の開発ソフトを見る限りは、おそらく「テーマをちゃんと料理しきれなかった」というのが大きいんだろうなあ。。と思います。

余談ですが、ジャンプゲーの中でここらの演出が飛び抜けて良いのがNARUTOのゲーム化である「ナルティメットシリーズ」です。こちらは、下手なアニメや映画よりも演出が凝っているので、彼らにJUMP FORCE2を担ってほしいなあ。。と思うオイラです。

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