2019年読んで良かった本
2019年読んで良かった書籍について書いてみます。とは言え、帰省していて本棚を見れないのでうまく思い出せないですが。今年は本もそこまで多く読んでいない気がします。エッセンスは色々入っていますが、どの本だったかは思い出せないのですよね。。知識的な本は少なかった気もします。
正義の教室
少し前にサンデルさんの「これから正義の話をしよう」という倫理学についての書籍や授業が流行りました。この「正義の教室」は、そのサンデルさんの書籍よりもわかりやすく、倫理学について書いた書籍です。
正義の教室の中身は「学校モノの小説」ですが、その物語を通じて、倫理学…における3つの正義を説いています。
「社会全体における総幸福量が高くすることが正義=功利主義」「各々が自由に幸せを追い求めることこそが正義=自由主義」「各々が良心(正義心)に基づいて行動すること=直観主義」。
おおよそ正義を分類するとこの3つのどれかになります。どれも正義の行動として一見納得できそうですが、どこかが欠落しています。その正義の欠落部分をうまく突いており、どこか心地よい部分すら感じます。
倫理学にありがちな難解な用語などはほぼ出てこず、高校生が倫理学の授業の中で楽しく、時に激しく学んでいく様子が描かれるので、とても読みやすいです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4478102570
てつがくフレンズ
先述した「正義の教室」と同じ著者ですね。こちらは「哲学者美少女化4コマ漫画」になります。ソクラテスやプラトン、ニーチェなどの古代哲学者からサンデルさんなどの近代哲学者までを幅広く美少女化した学園モノの4コマになります。
この説明だけだとイロモノに見えます。実際、読み始めは割と浅くて読みやすい4コマ漫画なのですが、読み進めているうちに徐々に哲学の深淵に足を踏み入れていきます。気づけば古今さまざまな哲学のテーマについて理解を深めることができる良書です。
「全ての西洋哲学はプラトン哲学の脚注にすぎない」
これが理解できれば、ほぼ哲学について網羅できるのですが、それを4コマを通して理解させていただけるのは本書だけです。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0764BPGLT
静かに、ねえ、静かに
本谷有希子さんが執筆した短編集。2019年に読んだ唯一の小説かもしれません。
三島由紀夫賞や芥川賞を受賞した本谷有希子さんが描く、SNSの繋がりに病みつきになったり、「自分探し」のためにそれっぽい記号を追い求めたりする人たちを主人公にした、不思議な空気感を持った短編集です。
こう、小説らしい物語の起伏や展開などではなく、ただ空気感を描いている感覚が妙に生活感を帯びていて、どこか本当にありそうな、あるいは自分も経験していそうな情景が描かれ続けます。
「大切なのは、料理が美味しそうなこと。旅が楽しそうなこと。そして、僕らが幸せそうなこと、なんだ。」
https://www.amazon.co.jp/dp/4065128684/
桜井政博のゲームについて思うこと
星のカービィやスマブラシリーズの生みの親であるゲームディレクターの桜井政博さんが、ファミ通で長年連載されているコラムをまとめた書籍です。
子どものころからエンタメ製作者の話を読んだり聞いたりするのがとても好きなオイラですが、この桜井政博さんの話はとても面白いですね。ゲームの話だけでなく、ディレクションに関する話も多くて、モノづくりの方だけでなくいろんな人が読んでタメになる話が満載です。
「ゲーム性とはリスクとリターン」「ゲームとは同じシステムで同じ遊びを繰り返すもの」「ゲームづくりは本当に大変。だけどお客様には関係ない。」などなどのゲーム制作哲学は色々とオイラの仕事でも勉強になります。
この方の話を聞いて「あーもっとエンタメをしっかり楽しもう」と思って最近、通り過ぎて行ったゲームやら何やらを見つめなおしております。
https://www.famitsu.com/news/201904/25175217.html
さよなら、私のクラマー
最後は漫画。まぁ2019年よりも前から買い続けているシリーズですが。女子高生サッカーを描いた青春漫画です。「四月は君の嘘」を描いた新川直司さんの漫画です。
とてもスポーツ青春漫画らしい漫画ですが、特別な能力や必殺ワザなどは登場せず、至極現実っぽいサッカー漫画です。
男子サッカーに比べて未来の狭い女子サッカーにおいて、そこで輝く才能の原石たちの青春が描かれます。迫力満点の熱い画力は、正統派青春漫画をこれでもか!と見せてくれます。純粋に楽しい。
オススメです。