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Stay Gold, Ponyboy.

「○○をしたら報酬あげるよ」というシステムでは仕事のやる気はあがらない、ってハナシ。

まいど、いおりんでござい。

ちょっと肌の調子が最悪で数日正気を失っていました。今は薬で無理やり抑え込んでなんとか人間的生活を取り戻しました。現代医学は素晴らしい。

さて。

今日はちょっと下記のプレゼンテーションを観て衝撃を受けたハナシ。プレゼンテータはダニエル・ピンク氏。「モチベーション3.0」という書籍で有名な方だね。

参考: ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」 | TED Talk | TED.com

概説すると、「○○をしたら報酬がもらえる」というシステムは、21世紀における多くの仕事においては無価値もしくは害悪だと立証されている、というハナシだ。

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2016年現在でも、多くの組織が、「○○をしたら報酬がもらえる」という「if-then式」のインセンティブシステム(動機付け)を行っていると思う。

資格を取得したら金銭が貰える。会社ブログに記事を書いたら評価ポイントが増える。契約成立数が多ければボーナスが増える。定期テスト平均90点以上でケーキをプレゼントする、とかね。

こんな単純なものじゃなくっても、多くの企業さんは、期間ごとの成果によって昇給が決まったり、ボーナスが上下したり、するでしょ?そーいう評価方法にすることによって昇給やボーナスを目指して、もしくは減給やボーナスゼロを回避するためにみんな頑張るでしょ?これが有用とされてきたから多くの企業は昔から、そして今でもそーいうシステムにしている。

ところがぎっちょん。

ダニエル・ピンク氏によると、このif-then式は取り組む問題によっては薬にも毒にもなる、と。そして21世紀における多くの「仕事」の場合は毒になりやすい、と。そーいうわけです。

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ざっくり言えば、if-then式の報酬システムは「目を逸らさずに集中的に作業をさせる効果」を期待できる。報酬を目の前に見せることで、他のことに目を逸らさずに課題に取り組むことができるわけだ。ニンジンをぶら下げられた馬みたいなもんだな。

でもね。現代の仕事の多くは、「課題」と「解決への道筋」は明確になってない。そんなゴールへの道筋が見えない課題を前にニンジンをぶら下げて、ゴールしか見えない状態にしても、解決は早くならない。むしろ、道筋を導き出す前にゴールに走り出すせいで、無駄足が増えたり壁にぶつかったりするかもしれない。

要するに、報酬のせいで「目を逸らさない」が「視野を狭める」に変わってしまう。ニンジンがぶら下がっているせいで立ち止まることができず、創造性が失われたり問題解決が遅くなってしまう可能性がある、と。まぁそーいうわけだな。

こんなこと言われると「いやいや、そんなことねーよ。報酬があったらみんなやる気だすんだよ。何もねーより、報酬があったほうがいーだろ。」と否定したくなるけど、この説は感情論でも哲学でもなく、科学的に立証された「事実」なのだ。

むしろ、「報酬を用意すれば仕事の生産性があがる」ということこそが、事実に反した感情論でしかないわけ。

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「21世紀の仕事」と限定している理由もおもしろくって。

20世紀以前はなぜif-then式が有用だったかというと、単純な課題解決が仕事として成り立っていたからだ。この頃はIT技術や自動化は非実用的な技術だった。貧弱なPCや計算機ですらバカでかかった。そのため、単純な作業の多くも人間がこなさなくてはならなかった。

だが、21世紀でIT技術が飛躍的に進歩し、様々な作業が自動化された。私たちの日常生活にもATMやETC、自動改札機など社会インフラレベルで機械化・自動化が行われている「工場が自動化されて雇用が減った」とかいうハナシも珍しくない。

つまるところ、「if-then式が役立つような仕事はマシーンにやらせたほうがいい仕事だ」「人間がやる仕事なら、if-then式はあまり意味がないはずだ」と言っているわけだ。

全てが全てとは言わないけれど、確かに理にかなっている気はするよね。

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じゃーどーすればいーの、ってとこだけど、ダニエル・ピンク氏は「自主性」に注目している。要するに「好きなことをさせる」のだ。

有名な例ではGoogleがある(ダニエル氏も挙げているけれど)。Googleでは、「仕事時間の20%は好きなことに使ってもいい」という仕組みがある。この20%の時間は、Gmailを含む様々なGoogleのサービスを生み出してきた。

もちろん簡単にこれを取り入れて良いわけではないと思うけれど、クリエイティブな動機付けをしたいのなら、ゴールと報酬を設定するよりも、ゆとりと活動の機会を与えた方が良い気はするよね。

例えば私なら、下記のような仕組みを考えるかな。

  • 月に1日は、「誰と何やってもいい日: Free day」を作る。その日ばっかりは立場関係なく、組織の全員が好きに動いていいようにする。
  • Free dayの成果を発表したい人がいればその機会を作る。(成果は簡単な改善案でも良いし、新事業案でも、何でもいい。)

この2つだけで、自分が想像もしないようなモノがでてきそうな気もする。(空気作りとかはもちろん大変だけどね。)

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余談だけれど、学生時代に友人が「ITシステムを用いた作業のモチベーションに関する研究」をしていたんだけれど、ゲーミフィケーションとか諸々駆使してシステムを作っていたけれど、最終的に「金銭の報酬が最強」っていう身も蓋もない研究結果が出て悩んでいた記憶がある。

あれって、作業が単純だったからなんだな。作業を簡単にするための工夫は張り巡らされていたけれど、そのために作業が単純化してしまい、if-then式の仕組みが有用になってしまっていたんじゃないかな。

モチベーションについては相手が不確実性の高い「人間」なので、考えるのはとても楽しいですね。

ばいびー☆

生産性はやっぱ「好きなことをする」が最強なのかな。
生産性はやっぱ「好きなことをする」が最強なのかな。

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