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Stay Gold, Ponyboy.

実話を基にした映画が教えてくれる知らない世界の喜劇や悲劇のハナシ。〜映画「スポットライト」を見て〜

まいど、いおりんでござい〜。

先日、「SPOT LIGHT」という映画を観た。邦題は「スポットライト 世紀のスクープ」という、なんというかちょっとバラエティ色の強いタイトルになっているけれども、本作はカトリック教会による子どもへの性的虐待事件という実話を基にした、至極真面目で誠実な映画だ。

ボストンで行われていた神父による子どもの性的虐待事件と、それを組織ぐるみで隠蔽したカトリック教会の悪事を、ボストン・グローブ新聞の有志たちがジャーナリズムに基づいて暴こうとする。

引用元: 映画『スポットライト 世紀のスクープ』公式サイト
引用元: 映画『スポットライト 世紀のスクープ』公式サイト

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私は「実話を基にした映画」が好きだ。なぜなら、こーいう映画は私たちが生涯知りえなかった物語・喜劇・悲劇を教えてくれる。本やテレビ番組では気に留めないかもしれなかった事件でも、秀逸な映画となれば観たいと思えるし、伝記やテレビ番組で知るのとは違って空気感、感情などの言葉に乗らない情報を映画は届けてくれる。「物語」として追体験することができる。たった2時間半で。

最近では「アメリカン・スナイパー」「ブラックスキャンダル」「マネーショート」等を観た。これらも、多分伝記という形では一生触れることのなかった物語たちだ。

戦争帰還兵を襲うPTSD(心的外傷後ストレス障害)の苦しみや悲劇は本を読んでも「知識」にしかならないが、「アメリカン・スナイパー」という映画を観れば「感情」までを教えてくれる。彼らが実際に何を考え、どのような苦悩を抱いて人生を送っているのかを考えさせてくれる。

引用元: 映画『アメリカン・スナイパー』オフィシャルサイト
引用元: 映画『アメリカン・スナイパー』オフィシャルサイト

FBI史上最大の懸賞金をかけられた大犯罪人「バルジャー」の半生を描いた伝記は確かに刺激的ではあるが、それこそ映画にでもならない限り、多くの日本人には届かなかっただろう。映画「ブラックスキャンダル」はそのギャングキングと腐敗したFBI捜査官の奇妙な絆や狂気などを実感させてくれた。

引用元: 映画『ブラック・スキャンダル』公式サイト
引用元: 映画『ブラック・スキャンダル』公式サイト

サブプライムローン問題やリーマンショック等は日本人でも有名だけれども、現場の空気感を私たちは知らない。映画「マネーショート」は実在する「バブル崩壊の兆しを先読みした投資家」を主役に据えることで、「バブルが崩壊することを知っている私たち」が現場にいるかのような感覚を覚え、「バブルに溺れる優秀な人たち」の姿を強く記憶に焼きつけられる。

引用元: 映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』公式サイト 大ヒット上映中!
引用元: 映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』公式サイト 大ヒット上映中!

もちろん、これらの映画もジャンル的には「ドラマ映画」だから脚色はされている。物語を映画という娯楽に昇華させるためにあらゆる技術の粋が集められている。それでも、「物語」は事実だ。カトリック教会の事件隠蔽を暴いたジャーナリストたちも、PTSDで人生を壊してしまう帰還兵たちも、奇妙な絆と狂気を併せ持つバルジャーも、リーマンショックを先読みした投資家も、全部事実だ。

だからこそ、私たちに世界の一面、人間の一面を教えてくれる。それは優しさかも知れないし、厳しさ、残酷さかもしれない。

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スポットライトはカトリック教会の悪事を暴いた記者たちのハナシだけれど、映画自体もジャーナリズムに基づいているように思う。つまるところ、「事件を正確に伝えよう」という努力が感じられる。もちろんやり取りの中にはフィクションも多く含まれているだろうけれども、必要以上に教会を悪者にしたり記者たちを正義の味方にしたりはしなかった。

実際、暴れた側であるはずのカトリック教会の有志たちがこの映画を支持し、聖職者の性的虐待に関する委員会では、この映画の上映会が行われたらしい。いわゆる悪人側であるカトリック教会をして「誠実」だと思わせるほど、事実に基づいた映画だということじゃないかな。

日本人は「絶対的な存在」としての神を意識しない。むしろ生活に寄りそって至る所に神が存在している。だからこそ、「神」や「教会」「神父」が公的に絶対視されている文化というのはどーいうものかを知る良い機会になると思う。

劇中での性的虐待被害者が「神様を相手にNOなんて言えるわけがない。」「なんといっても相手は神父なんだ。断れるわけがないだろ。」と言っていたのが、文化差を象徴していたと私は感じたよ。

引用元: 映画『スポットライト 世紀のスクープ』公式サイト
引用元: 映画『スポットライト 世紀のスクープ』公式サイト

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日本ではマスコミの凋落、堕落がよく話題にあがる。反日メディアだの強硬取材が過ぎるだの権威に従い過ぎてて偏向報道だのと、まぁ色々言われているよね。私自身、そーいう面が見え隠れしているからあんまり信頼しないようになっている。

でも、「スポットライト」では、ジャーナリズムの根幹部分を伝えてくれる。「カトリック教会」という超巨大組織に対して社員たちが果敢に挑む姿は、「新聞ってのは、メディアってのはこうあるべきだよな」と思わせてくれる。

*「これを記事にしたら、誰が責任をとるんだ。

*「では、記事にしない場合の責任は?

この「記事にしない場合の責任は?」という言葉はジャーナリズムの根幹だよね。そして同時に、「行動しない場合の責任は?」と常に自問自答していきたい気持ちにもなった。

スポットライト、良い映画ですよ。

ばいびー☆

街の良い感じのパン屋さん。
街の良い感じのパン屋さん。

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