イオリンの何か

行ったり来たり

砕け散った夢のカケラが地面に散らばっていた
都会の雑踏に踏みにじられて
そいつはもう見る影もない

6月の朝に僕は田舎の家を飛び出した
新幹線に乗ってやってきた街は
見たこともないくらいに輝いていた

あれから3年が経った
あんなに眩しかった街は
鬱陶しいくらいに今も眩しい
おかげで星も夢も見えやしない

新しい発見もない日々
おんなじところを行ったり来たり
眩しいだけで色のない街は
僕に佇む時間をくれやしない
夢はどこかに散らばったまま

11月の夜に僕は都会の家を飛び出した
帰り道に見つけた夜行列車に乗って
ここじゃないどこかへ
どこかへ

星空の下に揺れる列車はまるでゆりかごのよう
窓から見上げる夜空は
見たこともないくらいに輝いていた

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