イオリンの何か

花火

真夏の海辺で見ていました
にぎわいを遠くへ置いてきて
ぼんやり空を見ていました

空に光りが舞い上がり
花火が空で咲きました
大きな音が遅れて
僕の体を突き抜けていきました

僕らもあの花火のように
強く儚く
輝けるのだろうか

長い道の先に見たあの花火も
君と手を繋いで見たあの花火も
一人砂浜で見上げたあの花火も

強く 儚く
淡く 寂しく
熱く 切なく
眩く 愛しく

いつの間にか花火も終わり
僕らはそぞろに帰路に着いています
日々の暮らしが待っています
僕らを焦がしたあの花火は
次の夏までもういません

思い出たちが遅れて
僕の体を突き抜けていきました

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