映画「ちょっと今から仕事やめてくる」を見て感じたハナシ。〜後編〜

まいど、いおりんでござい。

今回は前回の続きです。

前回: 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」を見て感じたハナシ。〜前編〜

映画「ちょっと今から仕事辞めてくる」を読んで思ったことなので、劇中のネタバレ要素がいくつかあるかもです。お気をつけをば。

引用元: 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」

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さて。

前編で「逃げてくれ」とは言ったものの、「逃げていい」と言われただけで逃げられるようなら社会問題になんかなりはしない。

逃げられない人とは、逃げる選択をしない人ではない。逃げる選択を見つけられない人だ。

だからこそ、青山には「ヤマモト」が必要だった。鬱屈とした世界に閉じ込められている青山の壁をぶち壊し、外の世界・楽しい世界に連れて行く存在が。

「仕事とは別の世界」を思わせるヤマモト。
引用元: 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」

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ヤマモトは、たとえ青山が断っても無理矢理にでも飲みや遊びに連れて行く。ふらふらと帰ろうとしているところを捕まえて飲み屋につれていくし、休日に家で寝てれば押しかけてくる。

そして青山が仕事で本当に辛そうにしているのを見て、「仕事変えた方がええんとちゃうか」「自分の人生は、自分と、自分を大切に思ってくれる人のためや」などと言ってくれる。真剣な顔をして。

多くの人にとって一番必要なのは、「逃げてもいい」という言葉でもなく、「働き方改革」でもなく、このヤマモトのような存在なんじゃないだろうか、と私は感じた。

少なくとも、いわゆる社畜時代の私にヤマモトがいれば、あんなにも自分をすり減らして、後遺症まで残すことはなかったように思う。

社会人らしくない遊びが多いヤマモト。
引用元: 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」

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ヤマモトのような存在が近くにいる人はほとんどいない。特に会社が忙しかったり辛かったりする人ほどそうだ。

自由な時間と余裕が減ることで交友関係も狭くなってしまい、やがて会社だけで人間関係が閉じられるようになる。

会社の同期に仲のいい友達はできるかもしれないけれど、会社の同期に対して「転職したら?」「休職したら?」などと言えるような人はなかなかいないだろう。会社帰りに飲みに言っても、往々にして仕事の話に終始するのがオチだ。

ヤマモトはただの仲のいい遊び友達ではない。「仕事」の外の世界からやってきて、仕事の世界にどっぷり浸かった私たちを無理矢理引きずりだして遊びにさそってくれるような存在だ。

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仕事が辛いとき、生きてることが辛いとき、私たちの手元にある選択肢は驚くほど少ない。いや、少なく見えている。

私自身は心療内科に行った。と言っても、全てが終わったあとだった。全ての仕事をひと段落させたあとだったので、完全に手遅れだ。(友人らはそれを褒めてくれるが、後遺症も残っているし褒められたことではない。もっと早く逃げるべきだった。)

社畜時代に私が逃げた先は「上司」だ。直属の上司では意味がなかったので、さらに上の上司に逃げた。そのおかげで一時はやわらいだが、所詮は「その場しのぎ」だった。

今考えれば、逃げ先などいくらでもあっただろう。それこそ家族や学生時代の知人などは、仕事で苦しんでいた私を引っこ抜いてくれたのかもしれない。

ただ、矛盾するようだが、私たちは仕事の世界にどっぷり浸かれば浸かるほど、仕事以外の世界が見えなくなる。仕事が大変で辛いはずなのに、その逃げ道として外の世界を見る余裕がなくなってしまう。

だから私たちは逃げ道が見えなくなってしまう。「上司」か「同期」か……。そのどちらを選んでも解決しないように見えてしまう。まるで危険な崖の上の一本道をフラフラと歩き続けているような。

そして青山と同じことを言う。

「仕事を辞めるなんて簡単なことじゃないんだよ」と。

仕事の外に目を向けると、世界は案外やさしいかもしれない。
引用元: 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」

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「仕事やめたら?」「逃げてもいいんじゃない?」と言われても響かない理由はつまりそれだ。彼らには1本の道しか見えていないからだ。

だからこそ、ヤマモトのような人物が必要なのだ。ただ外から「仕事辞めたら?」と言うのではなく、無理やり仕事の世界から引き剥がし、外の世界へ連れていくような人が。

今の世の中、残念ながら「仕事は辛いのが当たり前」だとか「社会というのは理不尽がつきもの」だとか言うのが世間一般として成り立っている。上司も部下も役員も新入社員もそう思っている。

仕事という世界全体が「辛くても仕方がない」「納得して仕事ができるなんてほんのひと握り」という前提で動いているのが、今の日本社会なのだろう。

そんな世界にどっぷり浸かっている人を救うのは、そーいう世界の外にいる人たちなのだと思う。

労働者を救える人こそ、今は必要なのかもしれない。
引用元: 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」

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映画を見ながら、「もしヤマモトのようなやつが私の近くにいればな」などと思いを馳せてしまった。

そうすればあの時、仕事が辛くて死にたくなることもなかっただろう。そして多くの友人たちにもヤマモトがいれば、サービス残業だとか社畜労働だとかに悩まされずに生きていけるのかもしれない。

そして、私は誰かにとっての「ヤマモト」になれるのだろうか。そんなことを考えた映画でした。

映画「ちょっと今から仕事やめてくる」、皆さん何かしらの形で目にすることができればなあと思います。

ばいびー。

追伸: アロハシャツっていいな、って思いました。

空は案外青い。

 - 所感・主張, 映画

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著者: イオリン

平成元年生まれ。奈良に生まれて青年時代を関西で過ごす。ITとデザインを勉強して上京しITベンチャーに就職するが、「もっと楽しいことをしたい」と退職。社会人生活をゼロからのリトライ中。見た目はダンディ、心は永遠の15歳。

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