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Stay Gold, Ponyboy.

「エンゲージメント」という言葉の一人歩き。

雑記のほうはほぼ毎日更新していたのですが、こっちを全然書いていなかったので、たまには何か書きますね。


最近、組織における「社員のモチベーション」とか「エンゲージメント」とかに関する話題を見かけるようになりました。

というか、マーケティング・コンサルティング業界で金稼ぎのために消費される「バズワード」として、この辺りが脚光を浴びてきている気がします。PDCAやOKR、MECEなどと同じような類の流れだなあ、と思っております。


組織におけるメンバーの「熱意」が組織全体の生産性と相関している、というのは間違っているわけではありません。

国別の幸福度ランキングなどでお馴染みの世界的な調査機関であるギャラップ社の調査では、「熱意」と「組織としての業績」「離職率」には相関が確認されています。なので、「会社の業績のために社員の熱意をあげよう」という考え方自体は別に否定しません。

オイラが違和感を感じる理由は、この考え方から派生した手段が間違っていることが多いからです。


まず「熱意」「エンゲージメント」という言葉は曖昧なものです。

試しに「エンゲージメント」でググってみると。

エンゲージメントとは、企業と従業員との繋がりや絆、企業や商品に対する消費者やユーザーの愛着度などを表す言葉です。

https://bizhint.jp/keyword/14247

「繋がり」「絆」「愛着度」「など」と、曖昧で多様な言葉の目白押しですね。

こんな言葉を使ってしまうと人によって捉え方がいくらでも変わり得ます。なので、この言葉自体はとても信頼できないものなのですよ。

本当に信頼すべきなのは、「熱意」ではなく、「業績と相関が確認された『熱意』という名前のついた指標」なのですね。


ところがぎっちょん、世の中には「オレオレ熱意スコアをはかるためのツール」というのがとても溢れている上、それを手放しに信用する人も多いです。

オレオレ熱意スコアを使うならば、「そのオレオレ熱意スコアは妥当性があるの?」というのをちゃんと見極めなければならない、とオイラは思います。

周りでも使っている事例を見かけるhttps://www.motivation-cloud.com“>モチベーションクラウドというサービスがあるのですが、オイラがパーッと調べた限りでは、妥当性検証についてはあまり信頼できませんでした。

一応、「業績との相関率」を見ているのですが、データの取り方、選び方などに恣意性が強すぎるので、個人的には信頼できないです。

(データを取る対象が「開発元企業の系列のみ」なのに「プラスの影響をもたらすことが明らかになった」と発表しちゃったり、数値同士の相関を見ただけで「この数字をあげるともう片方の数字もあがる」みたいな、相関と因果を混同している機関の研究は、信頼できないです、ごめんなさい。。)


そもそも「業績が良い会社の社員の熱意が高い」のは当たり前です。だって儲かってるんだもん。つまり、「ぼくがかんがえたさいきょうのエンゲージメントスコア」でも、相関を出すのは簡単なのですよ。

なので、「こんなツール、あってもなくても大差ない」と思います。どうしても使いたいなら、ギャラップ社のQ12などを使えばいいと思います。

オイラがギャラップ社の調査を信じる理由は、この機関が国際的に調査をしており、なおかつ70年以上も調査を続けていて、時系列でのデータも取り揃えているからです。データの質も規模も桁違いなので、「他の何かを信じるくらいなら、ギャラップ社信じた方が確度高いよね」という話です。

日本国内のみを調査対象としている研究について、「日本独自のルールがあるから意味がある」というのもわかるのですが、でも日本は国際的には負けているので。。国内独自のハナシでもない普遍的な「熱意」というモノにおいては、素直に国際的に大規模な調査・研究のほうを信頼していいんじゃないですかね。

特にギャラップ社は「12個の質問でエンゲージメントは大体測れるよね」という研究もしており、その質問内容もググれば出てくるので、ツールにコストをかける必要性もなくなってきます。


というか、そんな「エンゲージメント」というバズワードに注目するよりも、もっとやることあるのでは?と思ってしまいます。この言葉に注目するようになる時点で、何かしら組織内のコミュニケーションに不具合が起きていると思うので、スコアリングするまでもなく、対策に動いた方がいいと思います。

また、こーいうツールによって「社員の熱意が機械的に計られること」自体が、社員の熱意を削ぎやすい気もします。特に、「うちの会社の社員の熱意がやべぇ」と考えられる会社においては、何人かの社員にトドメをさす致命的なアクションになり得るかと思います。

こーいうスコアリングは、研究とかする意味合いでは重要なのですが、一般に活用するなら、スコア自体ではなくて「どうすればそのスコアが上がったのか」という方に注目すべきなのですね。スコアはあくまでも、「改善手法の有用性」を計るためのものです。

たとえばギャラップ社は上述した「熱意」について、「社員の強みを上司や組織が理解し、ちゃんと活かしていること」によって向上する、という調査結果も明らかにしており、その強みの計り方、活かし方についても「ストレングスファインダー」というサービスで売り出しています。

こーいう風に、「エンゲージってやっぱり重要なんだ!で、それをあげるためには社員の強みを活かすのが良いんだ!」というところまで考えれば良いと思うのですが、そうではなく、「ウチの企業のエンゲージメントスコアを計ろう」という判断になる時点で、「そーいう判断しちゃうところをまず直すべきでは?」と思います。

あと、「オレオレ熱意スコア」を簡単に信じたり、説明もなくそれに協力させたりするパターンを見ていると、「そーいうとこだぞ」と思います。


個人的には、「みんながみんな、会社へのエンゲージメントが高い必要はない」とも思います。

世の中には、「別に会社に愛着も絆もないけど、自分の仕事は愛している」という人もいても良いと思うのですよ。そもそも、そんなに愛着を簡単に持てるような、良い企業に溢れた世の中でもないですしね。(会社の寿命もかなり短い昨今です。)

なので、経営層が、「社員のエンゲージメントを上げるために職場環境を良くしよう」と考えるのはいいですが、それは機械的に計る必要はないと思います。「どーすれば職場環境は良くなるのか」とか「どんな施策が社員にとって幸せなのか」とかを考えたり調べたりすれば良いだけです。

そーいう重要なところを置き去りにして、「エンゲージメント」という言葉自体が一人歩きしている気がします。

元任天堂の社長さんだった故・岩田聡さんは、HAL研究所という組織が15億の借金を抱えた状態で社長に就任した際、「社員全員と一対一で対話した」と語っていました。

そーいう、コミュニケーションとして大事なことを少しずつやっていくことのほうが、「エンゲージメント」とかのバズワードに流されるよりずっと大事だと思うオイラです。

ここに関しては好き嫌いの話ですがね。


https://www.motivation-cloud.com/news/5197/

https://www.motivation-cloud.com/news/22600/

https://president.jp/articles/-/23978

https://q12.gallup.com/public/en-us/Features

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