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若者が投票率を100%したくらいでは、政治を変えることはできない(多分)

「2019年現在の日本で、若者が政治を変えるのって相当厳しいよね」という話を、します。

ここでは「若者」は「40歳未満」としておきます。


2019年7月21日(日)に、日本では参議院議員の選挙がありました。

選挙が近づくと、「若者もっと投票しろ」とか「消費税増税を止めろ」とか騒ぎだす方々がTwitterなどで大勢出てきますね。ただ、オイラは基本的に「選挙という制度で若者が政治を変えるのは厳しい」と思っています。

理由は簡単で、「若者の数が少ないから」です。

2019年1月における日本の人口は下記の通りです。

- 総人口: 1億2631万人
- 00-19: 21,265,000
    - 00-04: 4,820,000
    - 05-09: 5,167,000
    - 10-14: 5,389,000
    - 15-19: 5,889,000
- 20-39: 2,7056,000
    - 20-24: 6,350,000
    - 25-29: 6,176,000
    - 30-34: 6,888,000
    - 35-39: 7,642,000
- 40-59: 3,4785,000
    - 40-44: 9,001,000
    - 45-49: 9,710,000
    - 50-54: 8,425,000
    - 55-59: 7,649,000
- 60over: 4,3211,000
    - 60-64: 7,586,000
    - 65-69: 9,220,000
    - 70-74: 8,319,000
    - 75-79: 7,020,000
    - 80over: 11,066,000

参考: [総務省による人口推計](https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html)

ざっくりいえば、20〜39歳の人は2700万人。40歳〜59歳の人は3500万人。60歳以上の人は4300万人いるのです。

そして日本の選挙とは「多数決」であり、なおかつ国会も「多数決」なので、この人口の差は、ほぼ「戦力の差」と言えます。若者と呼ばれる世代は、兵力が1/2〜3/4程度ほどしかない状態で、他の世代と戦わないといけないのですよ。

なので、ただ「投票に行こう!」と呼びかけたところで、真っ当に戦っても勝てないのです。


「若者の投票率をあげれば政治を変えられる」という言説も散見されます。

では、2017年の衆議院議員総選挙の投票率と上述の人口から試算してみます(単位は「千人」)。

(2年ほど時期がズレていますがご容赦ください。2019年参議院選の世代別投票率が出たら、計算しなおします。)

- 20-39: 10,742
    - 20代: (6350+6176)x0.3385= 4,240
    - 30代: (6888+7642)x0.4475= 6,502
- 40-59: 20,192
    - 40代: (9001+9710)x0.5352= 10,014
    - 50代: (8425+7649)x0.6332= 10,178
- 60over: 28,204
    - 60代: (7586+9220)x0.7204= 12,107
    - 70代以上: (8329+7020+11066)x0.6094= 16,097

参考: [2017年衆議院議員総選挙の投票率](http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/)

ざっくりいえば、20〜39歳の人は1100万人。40歳〜59歳の人は2000万人。60歳以上の人は2800万人いるのです。

この試算からすると、「20〜39歳の投票率が100%になったとしても、現状の60歳以上の投票数には勝てない」という厳しい現実に直面します。現状の40〜59歳に勝つ場合でも、20〜39歳が必要な投票数は「75%」です。

おまけに、彼らはまだ余力を残しているのです。全力で戦っても勝てない。。と絶望しているところに、

「変身をあと2回もオレは残している……その意味がわかるな?」

と言われているようなものです。

この時点で「若者が投票率をあげただけでは、政治は変えられない」と言っていいとオイラは思いました。


選挙になると毎回にように「若者がもっと投票率をあげるべきだ」「若者が投票しないから損をするんだ」ということを言う人たちがいるのですが、上記の現状を見ていると「ひでぇ話だなあ」と思います。

ひでぇ話だなぁ、と思ったところで、「法律=国の運営の仕組み」を考えるのも国会なので、若者がその仕組みを変えることもできないのです。国会も多数決ですから、若者支持者=少数派がどう足掻いたところで多数派に勝つことはないのです。

なので、「若者が日本の政治を変える」には「投票率をあげる」とかに頼ってはいけないのです。むちゃくちゃに考えて、徹底的に計画を立てて団結して、「政治を破壊する」くらいの姿勢でいないと、若者が日本の政治を変えることはできません。「選挙」という枠組みの中であがいても意味がないのですよ。


実はこの文章を書き始めた時は、「若者の投票率をあげるのって、徐々にあげるのではなく、ゲリラ的に『いきなり90%』みたいなことしないと勝てないよね」ということを書こうと思っていました。

ところが、試算すると「そんなことをしても無理なもんは無理」だったので、ちょっと信じたくないなあ、と思いました。

もちろん、これは単純な数字だけを見た、「平坦に見た現況」なので、局所的にはいろんな例外が潜むと思います。。が、逆に言えば、そーいう「局所的な例外」を駆使しないと勝てないよ、ということでもあるので、なかなか絶望的な戦いを強いられているなあ、と思いました。

何か計算が間違っていたら是非言ってください。。

One Reply to “若者が投票率を100%したくらいでは、政治を変えることはできない(多分)”

  1. mikaC より:

    戦略を練らないとそもそも勝負にならない戦いだったとは、目から鱗でした。そして来年から私は、40歳〜59歳に含まれてしまうのだなぁと感慨に浸りながらも、今後も引き続き人口が減少していくことを考えると、政治•政策は若者向けに比重を置いていく必要があるのかも知れませんね。

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