日本の首都圏はとても酷い場所だ
昨日、ニコニコ生放送中に質問が来た。「日本の幸福度の低さについてどう思いますか」という質問だ。放送中にも答えたのだけれど改めてここにも文章にしておこうと思う。
まず、日本の幸福度についてだけれど、「日本ってなんで幸福度低いの?」問題があると思う。
実際、調査会社ギャラップによる調査によると、日本の幸福度は先進国において最低なんだそうだ。
ところが同調査では、実は「ストレス指標が高い国の方が平均寿命が高く幸福度が高い傾向がある」という結果が出ている。これは他の研究でも示唆されていることだ。人はストレスがなさすぎると幸福度が下がってしまう生き物なのだ。
だから、「ストレス過多社会」と呼ばれている日本が「幸福度も低い」っていうのはちょっと統計と反しているので、私は「なんで幸福度低いのかな」という疑問を持っている。
首都圏の幸福度が低い理由は仮説が立てられる。おそらく「人が多過ぎるから」だ。
よく「都会の人は冷たい」というが、実は様々な実験で、「人が密集している場所」や「情報量が多い環境」だと、人は親切心を失ってしまうことがわかっている。
たとえばある実験では、道を歩く被験者の街で老人に物を落とさせたところ、都会の道よりも自然に囲まれた道の方が物を拾ってあげる確率が増えた、という結果になった。別の研究でも、都会のような情報量が多い環境で過ごしていると疲労がたまって注意力が下がったり、余計な情報として「困っている人がいる」といった情報すら遮断してしまうことが挙げられている(トンネル視)。
そして、実はこの「親切心」というのは、人生の幸福度やメンタル状態だけでなく、健康状態やモテ度、果ては年収にまで影響することがわかっている。ポジティブ心理学者のアダム・グラントさんは親切心の影響を研究している1人だが、彼の研究によって「どのように親切にすればいいのか」ということも提唱されている。
(詳しくはGIVE & TAKEという彼の著書を読むといい。)
以上をうけた私の仮説はこうだ。「人が密集していたり情報量が多い場所だと人は親切心を失ってしまう。そして親切心は人の幸福度などと密接な関係を持つため、過剰な密集状態である日本の首都圏は幸福度が低い。」
なので、私は首都圏住民の幸福度を上げる一番の方法は「人を減らすこと」だと思う。
そもそも「東京」という土地は都市を作ることには全く適していないのだ。
まず地形が谷間になっており、周りが山や海に囲まれていない上、広大な池なども存在しないので、「都市の発展」と「自然景観の消失」が密接に結びついてしまう。自然環境……「特に畏怖を感じるほどの自然」は生産性、創造性などにも大きく影響することが科学的に証明されているので、そういった自然的象徴がない東京は「都市を発展させればさせるほど、人の生産性が落ちていく」という地形なのだ。
たとえばイノベーティブな街として知られるシリコンバレーや深圳、シンガポール、トロントなどに目を向けると、その多くは畏怖を感じさせてくれる自然が存在している。「サンフランシスコでイノベーションが生まれた理由は広大な大地と自然だ」としている書籍もある。
日本国内なら、私は「北海道」や「長野」「群馬」などを推したい。
そもそも多くの人は東京にいる理由はないのだ。多くの人が近い場所で働かないといけなかったのは、IT技術が発展していなかった産業革命時代の話だ。今はもう、取引先がたとえ地球の反対側にいても大きな問題がなく取引を実現できる時代なのだ。我々が今すぐオフィスを北海道やハワイに移転したとしても、おそらく多くの仕事は滞らないし、それどころか生産性は向上するだろう。
そもそも、科学の世界では「オフィスで仕事するよりも在宅勤務の方が生産性が高い」ということが一般的になりつつある。「オフィスじゃないと仕事ができない」は、少なくとも知識労働には当てはまらない。オフィス労働を主張している人たちの多くが言いたいのはきっとこうだ。
「オフィスがなければ、どこで仕事をしているフリをすればいいんだ?」
まぁ長々と書いたが、幸福度を上げたいなら日本の首都圏からは離れた方がいいと私は思う。もちろん全員そうすべきだとは一切思わないが、科学的・統計的に考えるならそうすべきだ。
もし今、首都圏でも幸せだと感じている人も、実はそれが75点くらいの幸せで、首都圏から離れれば95点くらいの幸せを手にできるかもしれないし。