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Stay Gold, Ponyboy.

コミュニケーションの希薄化はなぜ起きているのか、それの何が問題なのか、ってハナシ。

まいど、いおりんでござい。

新しい仕事が忙しくて…いや、正確には毎日通勤時間で5時間ほどとられているのでなかなか更新できず、気がつけば2月は1度も更新していませんでしたね。電車の中って本読んだり映画見たりはできるんだけれど、ブログの文章を書くのはできないんだよね。座れたとしても隣の人に見られるし、そもそもマナー悪い人が隣だとやたら肘張ってくるからイライラするし…。

雑記の方はある程度コンスタントに更新しているので、みなさんそちらもぜひ。

リンク: イオリンの雑記

さて。今日はコミュニケーションについての話をだらだら書くつもりでござい。

コミュニケーションといっても仕事とかで話題に上がる「コミュニケーション能力」ではなく、単純な人と人との交流のハナシ。


イオリンは、コミュニケーションについて割と真摯なほうです。

とは言っても、誰とでも積極的に会話したがるだとかそういうことじゃありません。その点についてはむしろ内向的なほうなので、私をあまり知らない人から見れば「なんだかあんまり喋らない人だなあ」なんて思われることもよくあります。

コミュニケーションに真摯…とは言い換えれば「コミュニケーションをサボらない」ってことです。

2017年の流行語大賞に「忖度(そんたく)」が選ばれましたね。忖度とは、つまり「誰かの気持ちを慮って、遠慮すること」です。

みなさん、「忖度」という単語にはあまり馴染みがなくとも、多分日々、忖度をしていると思います。「嫌われたくないから言わない」だったり、「変に思われるかもしれないから同意する」だったり、ってのはよく聞く話です。

ただ、私はあんまりそういうことはしません。私は嘘をつくのが下手…というのもありますが、そーいう態度をとることはあまりコミュニケーションとして真摯じゃないと感じるからです。


なぜ周りに気を使って自分の気持ちに嘘をついてしまうのか。おそらくそれはコミュニケーション上で発生する摩擦が、とてもストレスの大きいものだからだと思います。摩擦が起きるくらいなら、摩擦を起こさずに何もしないほうがマシ……。そう考えてしまう。

でも、それって言ってしまえばコミュニケーションを放棄していますよね。

そもそもコミュニケーションというのは常に「摩擦」が生じるもので、言ってしまえばその摩擦こそがコミュニケーションの本質です。自分と違う何かが相手にはあり、その部分が素敵に感じたり面白かったり、あるいは嫌気がさしたり。それが、人と人とが接するということです。

好きの反対は嫌いではなく無関心、という言葉がありますが、「コミュニケーションの密度」という点においては好きと嫌いは近しい存在なのです。


私は人と接する中で起きる摩擦を、基本的に肯定しています。嫌われてしまうことも含めて。

もちろん、誰かに嫌われるということは悲しいことです。私も人の子なので、誰かに嫌われると心が痛みます。そりゃー好かれた方がいいに決まってる。

でも、人間同士って基本的に相性が悪いものですから(遺伝子を受け継ぐ親族すら相容れないことがあるくらい)。人を嫌いになったり嫌われたりすることは、コミュニケーションの結果としては至極健全なんです。

時々、「私は人を嫌いにならない」と言っている人を見かけますが、そう言う人は多分、あんまり人とコミュニケーションをとらないか、「嫌い」という言葉の定義を変えているだけです。人を嫌いにならない方法は人と接しないことでしか実現しないですから。


これは、「嫌われることが健全だから何やってもいい」というハナシではありません。

いや、まぁ、「コミュニケーション」という観点だけを考えれば別にそれでもいいと思うのですが、我々は社会に属していますから。

現代社会は「互いに思いやることで共同体全体の利益を最大化しよう」という共同体なので、「何やってもいい」と思う人は必然的に社会で生きづらくなりますし、「何やってもいい」という人が増えたら共同体内で利益の偏りが生じ、社会は悪い方向へ進んでしまいます。

私たちは社会で生きる以上、「互いを思いやる」ということが求められます。それは間違い無いです。

そこに、コミュニケーションを主体として生きる性質上、「嫌われることは至極健全」ということも加わります。

それらを足し合わせることで、「嫌われることを恐れないで、相手のために行動を起こす」という美学が生まれるのだと思います。


ここ数年、「コミュニケーションの希薄化」なんてことが問題視されていますが、これは別に「みんな大事なこともメールやSMS(LINEとか)で済ますようになった」とかそういうわけじゃないと私は思います。

むしろ情報化社会という視点で考えれば、たとえ遠く離れていてもFacebookやInstagramなどで近況がわかり、いつでもメッセージをやりとりできる現代は、一昔前に比べてコミュニケーション量は段違いに増えています(少なくとも私は、デジタルテクノロジーがなければ今よりもずっと孤独だったでしょう)。

コミュニケーションの希薄化とはつまり、「みんなあんまりコミュニケーションをとらなくなった」ということです。そしてそれはおそらく、事なかれ主義の蔓延と、違いを警戒する風潮が組み合わさって起きています。

つまるところ、「不用意に話しかけると不審者にされる」とかそーいうことです。

これは、少し前に痴漢冤罪やモンスターペアレントなど、意味もわからず犯罪者にされてしまう事件が社会問題として日本を席巻したせいもあると思います。今の日本には「誰彼構わず敵対しろ」「見知らぬ人はみんな怪しめ」といったような精神が根付いてしまっているのです。

私は近所の人とすれ違った時は基本的に必ず挨拶をするのですが、返してくれる人は半分ほど、向こうから挨拶してくれる人は1人だけです(余談ですが、この方は笑顔で挨拶してくれるのでとても素敵)。無視されたり、疑心暗鬼の顔持ちで会釈を返したり…といったことが少なくないです。

一度、横浜駅で、とても重たそうなキャリーケースを持って階段を登っているおばさんがいたので、「荷物を持ちましょうか?」と言ったのですが、このおばさんは露骨に訝しんだ顔を見せながら避けるように「いや、いいです」と強めに言い放ちました。私はこのことがあってから、都会では優しくする人を選ぶようになりました。

こういった風潮が強くなった結果、みんな他人とコミュニケーションを積極的にとらなくなったのだと思います。なぜなら、怪しまれるかもしれないから。特に日本人は島国民族ですから、不審に思われることが苦手です。下手に話しかけて怪しまれるなら、何も話さないでおこう、と。そういう選択をしてしまうのです。


タチの悪いことに、このコミュニケーションの希薄化が、「怒られなければOK」という人たちを増長させる結果になっていると私は思います。

私は都内へ電車で通勤していますが、モラルを感じられない行動がとても目につきます。私は元々、他人のモラルといったものをあんまり信用していませんが、それにしたって目に余る。電車一つ乗るにしたって、「出る人よりも先に入ろうとする」「我先に空いてる席を分捕ろうとする」「前にいる人を平気で押す」などなど。そりゃーこんな阿鼻叫喚の地獄絵図を毎日体験していれば、国民幸福度もぶっちぎり最下位になろう、ってものです。

そして彼らは全く声をあげません。被害を被っている人もほとんど声をあげません。彼らはこの狂気の中、完全に沈黙するのです。それが異常さを際立たせます。

例えば、座りたければそう言えばいいのです。「すいません、疲れているので座らせてくれませんか?」と。「腰痛がきつくて」と。そして、そう話しかけられた人もきちんと答えればいいのです。「いいですよ」でもいいですし、「私も疲れているんです、ごめんなさい」と答えてもいいでしょう。もしかしたら「5分だけなら構いませんよ」でもいいかもしれません。そうこうしてるうちに隣の人が「僕は元気なので、僕が立ちましょう」と名乗り上げるかもしれません。

そうやってコミュニケーションして解決すればいいのです。それが人間でしょう?多くの人が他人を嫌な気分にさせてまで得ている利益というのは、実は少しだけコミュニケーションをすれば誰にも損させることなく得られるものなのです。

満員電車だって、みんな無言で無理やり乗ろうとするから、あんなバカバカしいことになるんです。どうしてもその電車に乗りたいなら、そう言えばいいのです。「誰か代わってください、会議に遅れそうなんです!」って。そうしたらきっと何人かは降りてくれますよ。どうしてもその電車に乗らないといけない人なんて、ほとんどいないんですから。

私たちはコミュニケーションをサボるあまり、自分たちで自分たちの首を締め続けているのです。


コミュニケーションの希薄化が問題視されるのは、つまりそういうことです。私たちはコミュニケーションを主体として生きると決めており、コミュニケーションありきで社会のシステムを構築してきたのに、ここにきてコミュニケーションをサボる人が増えたあまり、社会のシステムが上手く作動しなくなっているのです。だからコミュニケーションの希薄化はとても大きな問題なのです。

そして、それは情報化の推進とか穿った個人主義の浸透とか色々な背景があるにしろ、結局は私たちがコミュニケーションをサボっているからなのです。

声をしっかり上げなければ。何も変わりません。

ばいびー。

キツネ村は最高でした。まる。

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